計画よりも成果の方が大事

2025年6月20日

2025年6月20日

はじめに

ビジネスの世界では、「計画が全て」という考え方が根強くあります。しかし、どれほど綿密に練られた計画であっても、予期せぬ市場の変化や技術の進化などの現実の複雑な要素全てを織り込むことはできません。私たちは、不確実性を嫌うあまり、成果よりも計画を意識しがちです。

完璧な計画は立てられない

未来を予測することはできますが、予測は過去の情報に基づいています。そのため、もし今後状況が変われば以前の予測は無価値になります。また、時には計画のための話し合いや情報収集が原因で行動が遅れ、最終的な成果が減ってしまうこともあります。 仮に、計画を立てるための明確な手順が存在したとしても、計画を練るのは人間であるため、人間特有の思考の癖(認知バイアス)が計画に反映されてしまいます。このように、完璧な計画を立てるには多くの落とし穴を避けなければなりません。完璧な計画を立てようとすることは、不確実性への備えとして不適切です。

計画は修正のためにある

完璧な計画が実質的に存在しないならば、計画は関係者を一旦納得させるためのおまじないのようなものです。プロジェクトが計画通りに進んでいるかどうかはあまり重要ではありません。計画策定にあたっては、できる限り修正しやすい計画を立てることが重要です。なぜなら、修正こそが計画を完璧に近づけるための鍵だからです。プロジェクトで予期しない問題が発生するたびに計画を修正すれば、計画の中身は自然と具体的になっていき、当初は考慮できていなかった重要な要素を認識できるようになります。 人間は近くのものを処理するのに長けていますが、それを注意深く観察している間は遠くのものを認識できません。人間の認知の特徴を踏まえれば、計画の修正を繰り返す方が効果的です。

成果でプロジェクトの主導権を握る

計画がおまじないであるならば、もはや計画にこだわる必要はありません。プロジェクトの成功率を高めるために、より積極的な立ち回りをしてみるのも良さそうです。計画策定を手短に済ませることで節約した時間を使い、小さな成果を挙げるのはどうでしょうか?計画は可能性に過ぎませんが、成果は明瞭な事実です。成果こそが関係者を心から納得させるのです。成果で関係者を手懐ければ、プロジェクトの主導権を握りやすくなります。そして、主導権を握れれば、さらなる成果の実現を期待できます。なぜなら、主導権を持った人は大きな権力を得るからです。 主導権に付随する権力は失敗のリスクを下げ、成功の期待値を上げてくれます。その権力を使うことで、必要に応じて外部からの無駄な要求を断ったり、関係者に対して一貫した指示を出したりできます。

成果を計画に反映させる

素早く成果を挙げられるようになってきたら、その成果を計画に反映させてみましょう。その成果を得るのにどれくらいかかりましたか?その成果を得るまでの道のりはどれくらい複雑でしたか?プロジェクトの目標達成において、その成果は初めに期待していた通りの価値がありましたか?成果は過去のデータの中で最も新鮮で影響力の大きいデータです。直近の成果を、計画の修正のために活用することで、修正の精度が高まり、計画の価値が大きくなります。


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