読書について

2025年1月15日

2025年4月15日

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概要

この本は、ショーペンハウアーの著書の1つである「余録と補遺」にある章のうち、「自分の頭で考える」、「著述と文体について」、「読書について」を和訳したものです。

「自分の頭で考える」では、真の知識は他者の思考の模倣からではなく、自分で考えることで得られると論じています。さらに、自分の経験と観察に基づいて体系的に考えることで、物事の本質を理解できると説いています。

「著述と文体について」では、思考の不明確さを隠すための曖昧な表現や、本質的な情報を失わせる過度に簡潔な文体を批判しています。そして、良い文章は深い思考から自然に生まれるものであり、文体は思考を表すものであると主張しています。

「読書について」では、多くの書物には著者の思考が十分に表現されていないことを指摘しています。しかし、読者はこの事実に気づかずに読書を進めており、正しく読書するためには著者の思考の深さにまで到達する必要があると説いています。

感想

「自分の頭で考える」と「読書について」では、ショーペンハウアーの独創的かつ論理的な考えが述べられており、楽しみながら読み進められました。現代でも役立つ普遍的な価値を持った思想が、分かりやすい比喩表現で示されています。

しかし、「著述と文体について」では、当時のドイツ語における言葉の移り変わりを強く批判しており、違和感を覚えました。言語は社会とともに変化し、新しい表現や用法を生み出していくものです。それにもかかわらず、ショーペンハウアーは伝統的な言語表現にこだわり、新しい言語表現を否定的に捉えています。思想を伝える道具として言語を扱う立場にある哲学者として、このような保守的な態度は不適切ではないかと感じました。

読書について

読書好きのみなさんにとって、本書の内容は耳の痛い話ではありませんか?なにを、どう読むか。あるいは読まずにすませるか。読書の達人であり一流の文章家だったショーペンハウアーが贈る知的読書法。


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